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グループオンラインリハビリの1年効果を検証した研究が国際誌にアクセプトされました

2026.02.11

この度、三枝理学療法士を筆頭著者、神経内科関医師を責任著者とする英文論文がArchives of Physical Medicine and Rehabilitationにアクセプトされました。
当センターが取り組むパーキンソン病患者さん向けのグループオンラインリハビリの1年間の効果を検証したものとなります。
Saegusa H, Okusa S, Nukariya T, Tezuka T, Nihei Y, Kitagawa Y, Kubo S, Terayama Y, Suzuki N, Nakahara J, Seki M.
Association Between a One-Year Group-Based Telerehabilitation Program and the Quality of Life of People with Parkinson’s Disease: An Observational Study.
Arch Phys Med Rehabil. 2026.
オンラインリハビリに参加してくださり、アンケートにお答えいただきました皆さん、ありがとうございました。

内容を以下にまとめさせていただきます。

1年間の「つながるリハビリ」がパーキンソン病のQOLを支える ― グループオンラインリハビリテーションの可能性 ―

【はじめに】
パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は、運動症状だけでなく、抑うつや不安、社会的孤立といった非運動症状も含め、患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす疾患です。薬物治療に加え、運動療法やリハビリテーションの重要性は広く認識されていますが、「それをいかに長く、無理なく続けられるか」は、臨床現場における大きな課題でもあります。近年、ICTを活用したオンラインリハビリテーションが注目されており、移動負担の軽減や継続性の向上といった利点が期待されています。しかし、これまでの研究の多くは短期間の介入にとどまり、長期的な影響については十分に検討されていませんでした。

【本研究の概要】
本研究では、1年間にわたるグループオンラインリハビリテーションプログラムに参加したパーキンソン病患者さんとその介護者を対象に、QOLの変化とプログラムの受け止め方を検討しました。
プログラムは、Zoomを用いた週2回・1回40分のオンラインセッションで、
・ ストレッチ・筋力トレーニング
・ リズム運動
・  認知課題を組み合わせた運動
・ 嚥下・発声練習
・ パーキンソン病の症状に合わせた運動
・ 日常生活や病気に関するミニレクチャー
などを、安全性を重視した座位中心の形式で実施しました。

【主な結果】
49名のパーキンソン病患者さんと43名の介護者が研究に参加し、そのうち約半数が1年間で80%以上のセッションに参加していました。
解析の結果、
 ・ 参加頻度が高い患者さん(80%以上参加された患者さん)では、QOL(PDQ-39総スコア)の悪化が少ない
 ・ 特に「情緒的安定(emotional well-being)」は1年後に有意な改善
 ・ 「社会的支援」「コミュニケーション」といった心理・社会的側面のQOLも良好な推移
が示されました。
一方で、移動能力や日常生活動作(ADL)といった身体機能関連の指標では、大きな改善はみられませんでした。しかし、進行性疾患であるPDにおいて、QOLが1年間維持されること自体が臨床的に意味のある成果と考えられます。

【患者さん・介護者の声が示すもの】
興味深いことに、患者さん・介護者の双方とも、「身体機能の改善」よりも「気持ちが前向きになる」「安心感がある」「人とつながっている感覚がある」といった情緒的な効果を強く実感していました。また、満足度調査(CSQ-8)では、参加頻度にかかわらず全体として高い満足度が示され、長期・オンライン・集団形式のプログラムが十分に受け入れられることが示唆されました。

【研究が示す意義】
本研究は、因果関係を証明するものではありませんが、「長期間・グループ型・非薬物療法としてのオンラインリハビリ」が、パーキンソン病患者さんの情緒的健康や社会的つながりを支える可能性を示しています。身体機能の改善だけでなく、孤立を防ぐ、継続する「場」をつくる、患者さんと介護者を含めた包括的支援という視点は、今後のPD医療・地域連携を考えるうえで重要なヒントになると考えられます。

【おわりに】
パーキンソン病の診療において、「治す」ことだけでなく、「ともに生活を支え続ける」医療・リハビリのあり方が問われています。オンラインという手段を活用したグループオンラインリハビリテーションは、その一つの現実的な選択肢になり得るのではないでしょうか。

 

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