「多職種連携チーム医療」で
患者さん・ご家族を支える
慶應義塾大学病院パーキンソン病センターの一番の特色は、非常に多くの診療科、医療職種がメンバーとなっており、協力して治療に当たっている点です。その背景には、パーキンソン病患者さんは運動症状のみならず非運動症状を含めた多彩な症状を呈するため、包括的把握と対応が必要であること、治療には薬物療法のみならずデバイス補助療法を含めた多彩な治療法があること、様々な課題を抱える高齢患者さんに対する全人的ケア・医療の提供が必要であることなどが挙げられます。具体的には、以下の診療科、診療部門がセンターを構成しています。
- 神経内科
- 脳神経外科
- リハビリテーション科
- 精神・神経科
- 内視鏡センター
- 看護部
- 薬剤部
- 食養管理室
- 医療連携室
これらの診療科、部門が綿密に連携をとり、チーム医療を実践して、パーキンソン病患者さんの健康を支えるべく日々努力しております。パーキンソン病患者さんの症状は一人ひとり異なりますので、患者さんごと毎に適した医療(テーラーメイド医療)の提供を目指しています。また、当センターではパーキンソン病療養指導士の資格を取得している医療スタッフが働いており、今後もセンター員は積極的に取得を目指しております。
パーキンソン病
「専門外来」の設置
当センターの外来は神経内科にて行っております。月曜日・火曜日・金曜日午後にはパーキンソン病専門外来があり、パーキンソン病を専門とする医師(担当:関・手塚)が担当しております。また、2023年4月からは脳深部刺激療法・レボドパ/カルビドパ配合経腸用液療法(LCIG)などのデバイス補助療法を検討している方、受けた方の専門外来も木曜日午前(担当:大草)に開設しました。
安心・安全にデバイス補助療法を行うために
脳深部刺激療法、レボドパ/カルビドパ配合経腸用液療法、ホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物持続皮下注(2023年10月から当院でも使用可能です)などのデバイス補助療法の効果を最大限に発揮するためには「適切なご病状」の患者さんに「適切な時期」に行うことが非常に重要です。当院ではデバイス補助療法の適応判断から手術、術後管理まで複数の診療科、複数の部門からなるパーキンソン病センターが対応し、安心、安全に治療を行う体制を整えています。
脳深部刺激療法の医療体制図
外来でのリハビリテーション
パーキンソン病患者さんの運動機能の維持や生活の質の向上には、リハビリテーションが重要であるといわれています。当院では、パーキンソン病センター専従の理学療法士、言語聴覚士を配属し、パーキンソン病患者さんのリハビリテーションを外来でも実施しております。
理学療法では、患者さんのニーズに合わせ、姿勢と痛みの改善を目的とした短期間集中リハビリテーションプログラムを提供し、現在よりも少しでも安心・安全な生活になるようサポートしていきます。言語療法では、パーキンソン病によって顔の表情が乏しくなることや、声が小さくなること、食事や薬が飲み込みにくくなるといった症状に対し、患者さんに寄り添った発声や嚥下のリハビリを行い、生活の質の維持や改善を目指します。リハビリテーションについてご希望の方は、当院神経内科パーキンソン病外来の担当医にぜひご相談ください。
注意:日本の保険制度上、ご希望に沿えないケースもあります。
オンラインリハビリテーション(オンライン体操教室)
コロナ禍で対面での活動が制限された一方、インターネットを使用したオンラインのサービスは格段に拡充されました。我々が外来通院中の患者さんに行ったアンケートにおいて、コロナ禍で困ったこととして「運動量の低下」という意見を数多くいただき、2022年4月より湘南慶育病院と共に「オンラインリハビリテーション(オンライン体操教室)」を開始しました。
2024年になりコロナ流行も落ち着き、少しずつリハビリテーションを行う機会、場が戻りつつありますが、オンラインリハビリテーションは新しいリハビリテーションの場として定着してきており、また我々の調査では有効性もわかってきました。2024年7月からは当センターが主催で、週2回、1回40分の全身のストレッチやリズム体操を中心に、発声や構音、認知機能のトレーニングを行っていくことになりました。また、医師やリハビリスタッフからの生活でのワンポイントアドバイスやエビデンス(科学的根拠)に基づいた、ちょっとした講演も行っていきます。自宅にいながら同病者の方と一緒に参加できることが好評です。ご興味がある方は当院パーキンソン病外来担当医へお声がけください。
参加できる人数には限りがあります。