2024年度を振り返っての所感
2025.03.27
2022年10月に慶應義塾大学病院パーキンソン病センターが設立されてから、早くも2年半が経過しました。「多職種連携チーム医療で患者さんの健康を支える」というスローガンのもと、多くの仲間とともに、パーキンソン病患者さんの診療の充実に取り組んでまいりました。
患者さんの健康を支えるには、医師だけの力では不十分であるとの考えから、2023年度はまず、パーキンソン病に関する確かな知識をもったメディカルスタッフの育成と、院内におけるパーキンソン病の啓発活動に注力してまいりました。その結果、現在までにさまざまな部門のスタッフがパーキンソン病療法指導士の資格を取得し、18名が認定されています。それぞれの専門家が患者さんのお悩みに対応できる体制が、徐々に整いつつあることを大変嬉しく思っております。
脳深部刺激療法(DBS)、ヴィアレブ、デュオドーパといったデバイス補助療法を、多くの診療科・職種が連携して、安全かつ安心して提供することも、当センターの重要な使命のひとつです。近年、これらの治療を目的としたご紹介や入院が増加しており、当センターの取り組みが皆さまのお役に立てていることを実感しています。
当センターでは、看護相談、薬剤師外来、外来リハビリテーション、オンラインリハビリテーションなど、さまざまな独自の取り組みを展開しています。特に近年、当院のリハビリテーションに関心をもって来院される方が増えてきていることを実感しています。介護保険を利用されていない方には外来リハビリテーション(通院によるリハビリ)を、介護保険をご利用の方にはオンラインリハビリテーションをご提案しています。来年度は、より多様なニーズにお応えできるよう、リハビリテーション体制のさらなる充実を計画しています。
ちなみに、オンラインリハビリテーションは2025年3月末時点で累計271回を数え、現在では毎回60名以上の方にご参加いただいております。私自身もできる限り参加するようにしており、参加者の皆さまとは顔なじみのような親しみを感じるようになってきました。この取り組みが皆さまの日々の生活習慣の一部となっていることを、心から嬉しく思っております。また、これほど長期間にわたり継続されているパーキンソン病患者さん向けのオンラインリハビリテーションは、世界的に見ても極めて稀であり、その効果や有用性について英語論文として発表できたことは、大きな成果であったと感じています。
2023年度は主に院内のメディカルスタッフ向けに勉強会を実施してまいりましたが、2024年度は新たに、患者さんおよびご家族を対象とした勉強会を開催いたしました。毎回満員となるご盛況をいただき、誠にありがとうございました。来年度も継続して開催いたしますので、ぜひお気軽にご参加ください。
今後も、「慶應義塾大学病院パーキンソン病センターで診療を受けてよかった」と思っていただけるようなセンターを目指し、メンバー一同、より一層努力してまいります。
最後になりますが、当センターの活動をご支援くださっている篤志家の皆様ならびに関係財団の皆様に、心より御礼申し上げます。
慶應義塾大学病院パーキンソン病センター実務責任者 関 守信