本日の日本経済新聞で当センターのパーキンソン病患者さん向けオンラインリハビリが紹介されました
2025.07.05
2025年7月5日付の日本経済新聞「医療・介護・健康」面に、「進化するパーキンソン病治療」という特集記事が掲載されました。その中で、当センターが取り組むパーキンソン病患者さん向けオンラインリハビリテーションの活動も紹介されています。
当センターがこのような取り組みを開始する契機となったのは、新型コロナウイルスの大流行でした。我々は、パーキンソン病患者さん258名を対象に、コロナ禍による生活への影響や医療現場への要望を明らかにするため、自由記述式のアンケート調査を実施し、その結果を学会誌に報告しました(手塚俊樹、関守信ほか『臨床神経学』62巻8–14頁、2022年)。調査の結果、多くの患者さんがリハビリの機会や場を失い、運動不足に悩んでいることが明らかとなりました。そこで我々は、自宅から気軽に参加できるオンライン体操教室を、湘南慶育病院と共同で2022年4月より開始しました。2024年4月からは、当センターが主体となって運営を行っております。毎週火曜日・木曜日の夕方に、Zoomを用いた40分間のライブ配信形式で実施しており、間もなく通算300回を迎えようとしています。現在は、毎回60名を超える患者さんにご参加いただいています。また、休憩時間や終了後には、主治医やリハビリスタッフによるパーキンソン病に関するミニレクチャーも実施しており、これを楽しみにされている参加者も少なくないようです。オンラインリハビリは、運動習慣の定着を目的とするのみならず、パーキンソン病に関する最新情報を得る場としてもご活用いただけます。2025年7月現在、新型コロナの流行は落ち着き、多くの患者さんが通所リハや訪問リハを再開できるようになりました。しかしながら、オンラインリハビリには、従来のリハビリとは異なる新たな役割があると考えており、今後も継続していく方針です。我々は、こうした取り組みを科学的に検証するため、参加者を対象としたアンケート調査を適宜実施し、その成果を学会発表や英文誌で報告しています。開始半年後のアンケート結果はすでに論文化され(https://pd-center.hosp.keio.ac.jp/news/news-114/)、現在は1年後のアンケート結果を英文誌に投稿中です。
※本取り組みは、慶應義塾大学医学部倫理委員会の承認を得た臨床研究として実施しており、当院もしくは共同研究機関に通院中のパーキンソン病患者さんを対象としています。